アトピー性皮膚炎とは?

アトピー性皮膚炎とは?

アトピー性皮膚炎というのは、皮膚にかゆみを伴う湿疹などの症状があらわれて、 良くなったり悪くなったりと、再発を繰り返し、慢性化しやすい病気です。

アトピー性皮膚炎の患者の多くは、「アトピー素因」と呼ばれている体質を持っています。
(アトピー素因というのは自分か、家族が気管支喘息やアレルギー性鼻炎、 アトピー性鼻炎などのアレルギー疾患にかかったことがあったり、Ige(免疫グロブリンE) という抗体の一種を作りやすい体質を持つことです。)

アトピー性皮膚炎という病名は、このような特徴があることからつけられていますが、 最近はアトピー素因を持っていない人でもこの病気にかかっていることが知られています。
なので、診療時には、アトピー素因を手がかりに進めていきますが、治療を進める上では、皮膚症状の改善に注目します。

アトピー性皮膚炎の発症例の多くは、乳幼児期におこります。そのうちのほとんどが、 生後2~3ヶ月あたりから湿疹症状があらわれるようになります。生後間もなくはあまり発症しません。
また、アトピー性皮膚炎は5歳~8歳までに8割は発症しますが、最近では環境汚染の結果からか、 20~30歳代など大人の発症率も高くなってきています。

アトピーの語源

アトピーという言葉は「アトピア」というギリシャ語が語源で、 「不思議な疾患」とか「奇妙な」といった意味を持っています。

1923年にCocaという人が、過敏性の人のなかの特別なタイプとして、 異常な反応を示すグループがあることに気付き、それを「アトピー」と名づけました。 そのタイプの人では、様々なものに過敏性を示しており、じんましんや鼻炎、喘息などが発病しやすいとまとめました。
そして、その家族のなかにも同じような病気が出ることが多いことから、 その体質(アトピー素因)は遺伝すると考えました。
さらに、このタイプの過敏症では、皮膚炎がみられる患者が多いことを付け加えました。

一方、皮膚科の病気として、特有の症状を持つ慢性、難治性の皮膚炎があり、 その病名が世界各国でばらばら(現在で言う慢性小児湿疹、幼少児屈側苔癬化湿疹など)でした。
この皮膚炎をもつ患者さんでは、鼻炎やじんましん、喘息などが発病する場合があり、 しかも、その家族の中にも同じような病気がおおくみられていました。

そこで1935年にSulzbergerという人物が、その治りにくい湿疹を、 Cocaの考えに基づいて「アトピー性皮膚炎」とし、その病名の統一をはかりました。