アトピー性皮膚炎と漢方薬

アトピー性皮膚炎の漢方薬治療

最近では、アトピー性皮膚炎の治療に漢方薬を使いたいという方も増えてきているようです。

事実、アトピー性皮膚炎の治療には、十味敗毒湯、補中益気湯、柴胡清肝湯、 消風散、柴朴湯などの漢方薬が使われているようで、効果があるという報告もあるようです。
しかしながら、これらは医師の経験にのっとった「症例報告」によるものばかりですので、 一般的に行っている信頼性の高い研究報告ではないことも確かなようです。

西洋薬とは違って漢方薬は、患者の体形や体質、皮疹状態などを診察して処方されます。
そのために、一定の条件のもとで一定の治療を行い、何人中何人に効いたという西洋医学的な臨床試験の 方法で評価することが簡単ではありません。


漢方薬治療の臨床実験例

近年では漢方薬治療でもきちんとした臨床試験を行う動きもあるようで、 以下のような研究が行われます。
長期間に渡ってアトピー性皮膚炎の症状が出ている患者を対象に、 補中益気湯がどのような沈静効果を発揮するかを検討した研究です。
(※ 「二重盲検法」といって、治療を行う医師も患者もどちらの薬を使っているか わからないように進める臨床試験で、信頼性の高い方法として知られている方法で行われています)

漢方独自の診察で、気虚(体力が消耗した状態)と診断されたアトピー性皮膚炎の患者77人を2つのグループに分け、 片方のグループ37人には補中益気湯を、もう一方の40人には本物に似せて作った偽薬を、 それぞれ24週間服用してもらいました。

その結果、ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬では、補中益気湯を服用した方が有意に 外用薬の使用回数が減少することがわかりました。