アトピー性皮膚炎とステロイド

アトピー性皮膚炎の薬(ステロイド)

アトピー性皮膚炎の薬の中でも図1 のようにステロイドはなぜこんなにたくさんの作用をするのでしょうか?
ステロイドは、様々な細胞に「受容体」というものを持っています。

受容体というのはスイッチみたいな役割を果たしており、 ステロイドは細胞内にある受容体のスイッチを押して、指令を出す役割をもつものです。

人の体には、200種類以上lの細胞があるといいますが、ステロイドは、 その多くの細胞の中に受容体を持っていて、たくさんの細胞に命令を出すことができます。
こうしてステロイドは、生命活動において、司令塔のような役割をになっています。

アトピー性皮膚炎のステロイド治療

アトピー性皮膚炎においてステロイド治療というのは、それが注射だろうが、内服だろうが、 外用薬だろうが体内の自立的な指令に取って代わって、外から強い指令を出すことと同じです。
それはときに、死に瀕した人の命を救います。ステロイドの投与無しには救えない命もあるのです。

しかし、他方ではその劇的効果がゆえに、使われすぎてしまうこともあります、
特にアトピー性皮膚炎の慢性疾患である場合は、ステロイドを投与し続けるということは、 外から指令を与え続けるということとなり、体のほうは自律的にバランスをとろうとする性質を失ってしまうわけです。

アトピー性皮膚炎においてステロイド外用薬というのは、その作用の広さと効果の強さゆえに、 決して使い方が簡単な薬とは言えません。


図1
薬効 商品名
Ⅰ群
ストロンゲスト
クロベタゾールプロピオン酸エステル(デルモベートなど)
ジフロラゾン酢酸エステル(ジフラール、ダイアコートなど)
Ⅱ群
ベリーストロング
モメタゾンフランカルボン酸エステル(フルメタなど)
ベタメタゾン酪酸プロピオン酸エステル(アンテベートなど)
フルオシノニド(トプシムなど)
ベタメタゾンジプロピオン酸エステル(リンデロンDPなど)
ジフルプレドナート(マイザーなど)
アムシノニド(ビスダーム)
ジフルコルトロン吉草酸エステル(ネリゾナ、テクスメテンなど)
酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン(パンデルなど)
Ⅲ群
ストロング
デプロドンプロピオン酸エステル(エクラーなど)
デキサメタゾンプロピオン酸エステル(メサデルムなど)
デキサメタゾン吉草酸エステル(ボアラ、ザルックスなど)
ハルシノニド(アドコルチンなど)
ベタメタゾン吉草酸エステル(リンデロンV、ベトネベートなど)
ベクロメタゾンプロピオン酸エステル(プロパデルムなど)
フルオシノロンアセトニド(フルコートなど)
Ⅳ群
ミディアム(マイルド)
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(リドメックスなど)
トリアムシノロンアセトニド(レダコート、ケナコルトAなど)
アルクロメタゾンプロピオン酸エステル(アルメタなど)
クロベタゾン酢酸エステル(キンダベートなど)
デキサメタゾン(グリメサゾン、オイラゾンなど)
ヒドロコルチゾン酢酸エステル(ロコイドなど)
Ⅴ群
ウィーク
プレドニゾロン(プレドニゾロンなど)

以下がステロイド外用薬の強さ一覧表です。 一般的に中・重症のタイプの型はストロング以上が用いられます。
ステロイドの薬の強さはⅠ群が一番強いタイプで、Ⅴ群に進むにつれて段々と弱くなっていきます。